01
御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか
- 出版社
- 技術評論社
- 著者
- 田村 昇平
- 価格
- 1,980円
本書の目次
第1章 選定ミスは終わりの始まり | |
---|---|
DXを成功させる大前提は「選定」が正しいこと | |
ロックイン問題は「選定」の結果であ | |
プロジェクトの成否は「選定」で決まる | |
第2章 選定に入る前に方向性を定める | |
「選定」のための地図を作る | |
パッケージかスクラッチか | |
第3章 RFIでベンダーを広く浅く収集する | |
RFIとは何か | |
RFIの準備 | |
RFIの手続き | |
トライアルで深堀りする | |
第4章 RFPで自社要求を明確にする | |
RFPで取り組む姿勢 | |
RFPで押さえるべきポイント | |
RFPでベンダーに提案を依頼す | |
第5章 ベンダーを評価し、選定する | |
提案書を自社のフレームで評価す | |
提案書でみえない部分をプレゼンで評価する | |
最終選考 | |
契約締結まで油断しない | |
第6章 最適なベンダーとサービスは未来を明るくする | |
選定後のプロジェクト処方箋 | |
ベンダーは共に歩むパートナー |
02
はじめに
はじめに
御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのでしょうか?
本書のタイトルですが、これについて最初に回答いたします。理由は3つあります。
① ベンダーの数が多すぎるから
システム開発やソフトウェアパッケージ、IT技術サービスを提供する「ベンダー企業」の数は膨大にあります。その中から自社に最適な1社を選び抜いていかねばなりません。それ自体、確率論的にも非常に難易度が高いといえます。
② 落とし穴が多すぎるから
ベンダーを選ぶ過程で、いろいろな「落とし穴」があります。落ちるのは一瞬で簡単です。しかも、それは選定ミスにつながるため、致命的です。その穴を迂回してもさらに次の穴が待ち構えています。つねに細心の注意を払いながら、進めていかないといけません。
③ ユーザー企業には時間も経験も足りないから
本質的には、この問題に行きつきます。どのユーザー企業も本業を抱えています。プロジェクトに割ける時間は限られています。当然ですが、いつもベンダー選定をしているわけでもありません。年に1回あるかないかの頻度でしょう。しかも毎回、担当する部署も異なってきます。つまり1社が経験して学ぼうとしても、時間と機会が圧倒的に不足しているのです。
私は、ITプロジェクトの現場に20年以上います。ベンダー側に10年、発注するユーザー側に13年となります。ベンダー側でシステム開発の世界を十分に知った上で、今では、そのベンダーを発注する側として、ユーザー企業でプロジェクトのお手伝いをしています。
私はコンサルタントとして、ユーザー選定の実践を積んできました。主要な落とし穴には、すべて落ちてきました。穴をよけて最後までたどり着くには長い道のりですが、そのノウハウを「ファネル選定」としてまとめました。本書では、私が落ちてきたさまざまな落とし穴の事例と回避策を紹介していきます。このノウハウを駆使していけば、「経験からの学習」をショートカットし、効率的に最後までたどりつけるはずです。
ベンダー選定は科学であり、アートでもある。私はそう考えています。
選定プロセスは論理的なロジックの積み重ねとなりますが、最後は泥臭い人と人との交わりの中で、人が最終判断を下します。目まぐるしく状況が変化する中で、その論理と感情の絶妙なバランスのとり方を含めて、お伝えしていきたいと思います。
なお、本書では各社共通であり、もっとも多いであろう「基幹システムのパッケージ導入」に比重をおいて解説しています。ただし、他のケースも適宜ポイント解説していきます。
本書は、「ベンダー選定の教科書」というコンセプトで書きました。
これからシステム導入を考えているユーザー企業の皆さま、特に経営層CIO、IT部門、プロジェクトマネージャーの方々には、「ファネル選定」は役に立つはずです。
テクノロジーでビジネスのあり方が一変し、どの企業もDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要なテーマとなっています。今こそ、最新のシステムやサービスを「選定」し、貴社がますます成長・発展していくことを祈念いたします。
マニュアルは誰が作るんですか?
「マニュアルは誰が作るんですか?」 ある現場で、情シスメンバーから質問をい...