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INTERVIEW

インタビュー[三菱重工パワーインダストリー株式会社様]

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インタビューに答えていただいた方

三菱重工パワーインダストリー株式会社の情報システム部の岩倉様、伊藤様、櫻井様にインタビューを実施しました。今回、IT戦略を策定するにあたり、策定の苦労や情シスの課題・展望について、率直なコメントをいただきました。

情報システム部
部長 岩倉士展 様

情報システム部 横浜ITグループ
グループ長 櫻井道子 様

三菱重工パワーインダストリー株式会社

情報システム部 呉ITグループ グループ長 伊藤純尚 様
(広島県呉事業所からのリモート会議のため、撮影できませんでした。)

三菱重工パワーインダストリー株式会社
三菱重工パワーインダストリー株式会社
〒231-0012 神奈川県横浜市中区相生町三丁目56番1号 KDX 横浜関内ビル
WEB

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インタビュー

まず、貴社の事業内容を教えてください
三菱重工業株式会社の子会社として、中小型の産業用火力設備・産業廃棄物焼却設備・バイオマス発電設備・地熱発電設備などの新設事業と、既設プラントの改造工事、アフターサービス、保全工事事業などを手掛けています。
御社ならではの基幹システムの難しさを教えてください
当社では2000年度から自社仕様にカスタマイズしたSAP ERP(当時SAP R/3 4.0B, 現在SAP ERP 6.0)を基幹システムとして運用して来ました。今後はグループ会社仕様のSAP S/4 HANAへ移行をする計画です。

その為、SAP ERPと周辺業務システムのインターフェースを全て繋ぎ変える必要があります。しかし、現在のSAP ERP開発・改修は外力に依存しており、社内にそのノウハウを持つ者が限られている状況にあります。この状況を踏まえて、どう体制を組み、進めていくかが今後の課題です。

IT戦略について聞かせてください。IT戦略を作る上で直面した課題や苦労は何でしたか?
三菱重工パワーインダストリー岩倉様2021年度まで情報システム部門は経理部門の配下にあったため人員が少なく、半数近くのメンバーは50歳代と高齢化が進んでいました。
昨今の会社規模急拡大やIT環境の急激な変化に追従できるリソースやノウハウも乏しく、更には新たな業務改革のためのシステム化などを実行する為の力量の不足等もあります。そのため、中・長期的なIT戦略を立にくい状況に有りました。

この状況を改善するため、2022年度に課から部に格上げさせると同時に、中途採用者や外注者を数名採用して、人的リソースの拡充を図りつつあります。

その課題を克服するための特別なアプローチや工夫はありましたか?
先述の背景もあり、この度、情シスコンサルティングさんにご指導をお願いしました。2回/月のペースで打ち合わせを行い、具体的な問題点やその対策についてディスカッションを進めました。

先ずはシステム運用・保守業務や定例的な業務は徹底的に外部リソースを活用する、親会社の標準システムを極力利用するなどの大方針を立てました。さらに、部員のPMO能力を向上させることなど情報システム部内の組織戦略や、会社規模拡大に応じた中長期のIT戦略方針を策定することが出来ました。

今後のIT戦略において挑戦したい領域やテーマがあれば教えてください
三菱重工パワーインダストリー櫻井様来年度以降の数年は直近最大のハードルであるグループ会社仕様のSAP S/4 HANAへの 移行に注力する必要が有ります。さらに並行して、IT・ユーザ部門含めたITリテラシー向上やスキルアップ、そのためのツール拡充やインフラ整備にも取り組んでいきます。
将来的にはDX技術の業務活用化により、当社の競争力強化や新規ビジネス創出など貢献に繋げ、IT部門の更なる社内地位向上を目指したいと考えています。
さて、次に情シスについて聞いてみたいと思います。現在の情シスの強みや独自性について教えてください
社内外の急激な環境変化や高齢化が進んではいますが、そのような中でもITインフラ、業務システム開発・保守、情報セキュリティ他の各分野において、多くの業務を自力・少人数でこなして来た実績があります。
今後は、親会社のインフラやシステムを積極的に利用することで、小回りの利くアットホームな多能工集団にしたいと考えています。
現在の情シスの取り組みとして、特に成果を挙げている部分はどこですか?
従来では主に事務系のシステム化に取り組んでいましたが、2020年度からペーパーレス化推進に端を発した設計周辺業務合理化推進プロジェクトを立上げ、3ヵ年の計画で取り組んでいる最中です。さらに新型コロナウィルス蔓延防止に対応するため、在宅勤務できる環境を構築したり、ファイルサーバをBoxへ移行するなど、パブリッククラウドの積極活用も進めています。
情シスならではの苦労や難しい点というのは、どこにありますか?
三菱重工パワーインダストリー岩倉様情報システム部員は、現場業務の経験が殆ど無いことからの知識不足や、スキル不足、社内地位の認識ギャップからのマインド不足などの問題点があると考えています。その解決のため、まずは現場実務に入り込み「業務を知る」ことから始め、二人三脚体制で現状の問題点発見から解決に結び付けたいと考えています。
また、部内外でのコミュニケーション強化などにより、各種ギャップの解消に繋げたいとも考えています
グループ会社としての情シスの難しさはありますか?
親会社によるグループ会社IT方針が示されていますが、必ずしも当社の要望や思いと合致しない部分もあり、システム選定時に苦慮する場合があります。親会社では多数の共通システムを開発し、それらの利用を促しています。しかし、その動きは最近の動向であることや、グループ会社を含めた企業規模が巨大であるためか、拠点毎に採用しているシステムに相違があるようです。

また、グループ会社仕様のSAP S/4 HANAへの移行においても、プロジェクト規模が大きいためか、我々子会社まで正確な情報が降りてこず、当社計画も進めにくい状況になっています。

情シスにとって、システム開発や導入では、何を重視されていますか?
利用部門の利用し易さ、導入コスト、運用コスト、開発期間の全てを考慮しています。
ベンダーの選定はどのように行われていますか?
SAP ERPの改修などは、元兄弟会社のベンダを多く利用しておりました。しかし、最近ではシステム開発案件毎に得意分野の異なるベンダを比較・競合させてから採用することが多くなっており、この流れは今後も続くと考えています。
情シスとして、外部人材やベンダーとの関係性はどのように考えていますか?
三菱重工パワーインダストリー櫻井様社員だけで人員確保とスキル獲得を満足する事は難しいと考えています。今後も外部へ積極的に協力を求め、関係を維持して行く必要があると考えています。

また、開発においては、現在ほとんどを外部委託としていますが、今後は内製率を上げて部内のスキルを一定以上保てるようにし、外部委託と内製をバランスよくすることを計画しています。効率的で小回りの利く開発体制を作り、よりスピーディな改善が出来るようにしたいと考えています。

最後に、情シスとしての今後の展望を教えてください
まずは人的リソースの更なる拡充とスキルアップを図りながら、「守り」だけでなく「攻め」も備えた「攻守兼備」の情報システム部門へ移行させていきます。
今回策定したイノベーションを実現するための「IT戦略」と、それを支える「情報システム部組織戦略」を具体化・実践することで、社への貢献を最大化させたいと考えています!
本日は貴重なお話しを聞けて、とても参考になりました。ありがとうございました!!

三菱重工パワーインダストリー株式会社

攻めの情シス研究所(コラム)

情シス・IT部門が強くなるための考え方や、プロジェクトを回すためのノウハウなどをコラム形式でお届けしています。

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