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IT部門/情シスのPMOは、なぜ週次定例会を開催しないといけないのか?

2017

8/28

IT部門/情シスのPMOは、なぜ週次定例会を開催しないといけないのか?

週次定例会の苦悩

「毎週やっている定例会を隔週にしてもいいですか?」
「ダメです」

私は即答しました。

情シスのPMOメンバーUさんから相談を受けたときの会話です。

出席しているユーザー部門の方から

「時間がもったいないし、毎週やらなくていいのでは?」

と言われたそうです。

その週次定例会は、3つのユーザー部門から9名が参加しています。

いつも盛り上がることなく、Uさんがひとりで必死に話しています。

参加者は手元のスマホを見たり、持ち込んだPCで内職したりしています。Uさんが質問をした時だけ手を止めて回答し、話が終わるとまた視線を落とします。

最近は定例会の出席率も悪くなり、欠席が目立つようになっていました。

週次定例会で進捗が引っ張られる

PMOをやった事がある人はご存じだと思いますが、PMOにとって「毎週」の定例会は非常に重荷です。

準備不足のままだと、場が白け、胃に穴が開きそうになります。

ユーザー部門の方から批判されることもあります。しかしそれ以上に、相手にされずに空回りを感じている時が、最も精神的ダメージを受けます。

ファシリテーションをやっていると、その場が失敗かどうか、本人が一番分かってしまうものです。

それでもなお、PMOが「週次定例会」を開催する理由は何でしょうか?

週次定例会では、PMOが毎週の進捗を確認します。前回の宿題が完了したかも追求します。止まっていたら、原因と対策をきちんと確認します。

ユーザーから嫌われようが、ウザいと思われようが、しつこく確認します。

それでも、定例会がプロジェクトとして「機能」していればユーザーは納得するのです。そうでない場合、ユーザーに「この会議、意味ある?」と聞かれます。PMO失格です。

恥ずかしながら、私は今まで何度もこの「呪いの言葉」を聞いてきました。その度に落ち込み、次回こそは意味のある場にしようと、死に物狂いで改善を続けました(今でもそうです)。

意味のある場にするためには、ユーザー部門の方に「やっていません」と言わせないこと。これが一番、場が白けます。進捗がなければ課題も発生せず、議論すべき論点もなく、関係者が集まる理由がなくなるからです。

そのため、PMOは宿題を持っている人へ事前にリマインドします。そこで進捗がなさそうであれば、個別に現場介入し、進捗を促します。その進捗を止めている課題があれば、定例会の議題に入れます。

そうやってPMOは裏で走り回り、定例会を何とか「成立」させていきます。

これを「毎週」繰り返すことで、定例会が「ペースメーカー」となり、プロジェクトを動かしていくのです。特に「現場が忙しいユーザー」に対しては大きな効果を発揮します。

定例会は、「毎週」やるからこそ意味があります。

毎週やらないのは、何かしら進まない状況から逃げているだけです。

毎週は大変つらく、手を休める暇がありません。PMOはいつも不安に駆られ、失敗しないよう必死にフル回転します。

だからこそ、プロジェクトを「ドライブ」できるのです。その必死に頑張っている姿が、周囲の協力を引き出していきます。

毎週は苦しいですが、それがPMOとしての「正常運転」となります。

定例会はPMOを映す鏡

冒頭のUさんは、必死に週次定例会を回し続けました。

事前の根回しが功を奏して、場の雰囲気も明るくなります。出席率も改善され、プロジェクトの進捗も回復しました。

何より、Uさんが以前より明るくなったと感じます。

PMOの精神状態は、定例会の雰囲気に左右されるということです。

貴社のIT部門/情報システム部門のPMOは、ペースメーカーとして「週次定例会」をうまく回せていますでしょうか?

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情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。