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IT部門/情シスPMOはPMの悪口をどうさばくべきか?

2020

7/07

IT部門/情シスPMOはPMの悪口をどうさばくべきか?

PMOは駆け込み寺

「PMに言ってくださいよ!このままでは失敗するって」
「PMのやり方は間違っている!ついていけない」
「PMに報告するだけ時間のムダですよ、何もやってくれないので」

IT部門や情報システム部門がPMOをやっていると、「駆け込み寺」のようになります。日常的に相談やグチが集まってきます。

そこで結構多いのが「PMの文句」や「PMへの不満」です。

PM(Project Manager)は、ユーザー部門の責任者クラスが担うことが多い。

情シスは言わば「他部署」なので、グチを言いやすいのでしょう。

PMOとして、そのグチをどうさばけばいいのでしょうか?

そもそもPMOが任務を全うしていない

PMの悪い面にフォーカスすれば、いくらでも出てきます。

・細かい内容を知らない
・会議に出ない
・話を聞いてくれない

それがユーザー担当者には不満です。「自分たちはこんなに頑張っているのに」という気持ちが積み重なります。

ユーザー部門も一枚岩とは限りません。トップとナンバー2の仲が悪いこともあります(PMOの板挟み確定です)。

このグチにPMOが乗っかり、定例会で「PMが悪い!」と正論で吊るし上げればいいのでしょうか?

おそらくPMは二度とPMOを信頼しなくなります。関係が壊れていきます。

意見を言うとしても、個別に話すべきでしょう。

PMの良い面にフォーカスすればどうでしょうか?

・見えないところでの経営層との調整
・多くの社内会議や大量のメール処理
・膨大な社内事務手続きや承認
・多くの社外会議や来客対応
・責任者としてのトラブル対応
・契約管理や予算調整や原価管理
・他のPM掛け持ち

など、PMにしかできない業務を大量に抱えていることが分かります。

しかもそれは、担当者から見えないところで行われます。

これらを裏で全部やって、担当者と同じだけ現場で稼働するのは無理というものです。

だからこそ、PMOがいます。

PMOはPMの代行者として、会議に出席し、現場に対応し、課題に対処していきます。

そもそも、PMの悪口が出る時点で、「PMOの仕事が不十分」という証拠です。

PMOがきちんと課題を管理して、PMとコミュニケーションをとっていれば、そうはなりません。

PMのグチが来たら、PMという「人」ではなく「課題」にフォーカスし、課題を言語化して、管理すればいいのです。課題を解決することで、現場の不満は解消されます。

グチに対して、PMOが当事者意識を持てば、PMは悪者になりません。

PMOにも(PMと同様に)覚悟を問われているということです。

PMOにプロジェクトの責任を負う覚悟がないから、保身に走り、現場に迎合してしまうのです。

PMOの本当に大事な役割とは

PMのグチがくるということは、プロジェクトにとって正念場を迎えています。PMが本当に苦しい時でもあります。

PMの非難を増長するか?フォローにまわるか?

重要な分岐点です。

実は、PMがいないところで、PMを必死にフォローする姿が、結果的には現場から信頼されます。もちろんPMからも信頼されます。

皮肉なことに、現場のグチに付き合い、一緒になってPM批判をしだすと、結果的に現場からも信頼を失っていくことになります。何も解決を生まないからです。

PMOの対応には人間性が現れます。周囲もそこを見ています。

貴社の情報システム部門・IT部門のPMOは、ユーザー部門のPMを全力でフォローできていますか?

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御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか

情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。