RFPは3つの分類で整理する

ベンダーが提案するために必要な情報は、主に次の3つに分類することができます。それらを整理してRFPに記載します。

① システム要求事項

システムを導入する上での要求事項です。主に「目的」「課題」「期待する効果」「要求機能」「スケジュール」を記載します。

② 自社紹介

初めて取引をするベンダーは、自社のことを知りません。自社を理解してもらった上での最適な提案を引き出すために、自社の情報をきちんと提供する必要があります。主に「事業内容」「組織構成」「業務フロー」「現行システムの概要」を記載します。自社のパンフレットを添付することも効果的です。

③ 契約条件

ベンダーを選定する際は、契約条件も考慮します。なぜなら、ベンダーと契約面で揉めることが多いからです。後で揉めないためにも、このRFPの段階で先に契約条件を明示し、合意したベンダーを選ぶ必要があります。主に「検収条件」「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の期間」「著作権の帰属」「損害賠償金の上限」「個別契約の区切り方」を指定します。
 

RFPは、自社フォーマットとして一度作ってしまえば、別のプロジェクトで使い回すことが可能となります。特に「②自社紹介」と「③契約条件」は毎回変わるものではありません。RFPを面倒に感じるかもしれませんが、一度作ってしまえば、次回から負担が軽減されます。
 

RFPのファイル形式

RFPの形式は何でも構いません。私は過去にワード、エクセル、パワーポイントのそれぞれで作ってきた経験があります。ですが、送る時にはPDFにするので、元ファイルは何でも良いといえます。

好みの話になってしまいますが、私はRFPの本体はワードで作るべきだと考えています。理由は、最も「格調」が高くなるからです。日本語の構造を美しく表現できて、厳格で緊張感のある体裁に仕上がるからです。

もう一つ、ワードは自動で番号を振り直してくれます。これも非常に重宝します。途中で項目を追加したい場合、エクセルやパワーポイントでは、番号を手で振り直さなければなりません。ワードは、挿入箇所から先は全て自動で振り直され、目次も自動更新してくれます。RFPのようにボリュームが多くなると、地味ですが生産性が大きく変わってきます。

ただし、ワード一辺倒だと、図や表が作りにくく、ベンダー側も扱いにくくなります。ワードは縦向きで作るのが基本なので、横向きの資料との相性も悪い。そこで適度に「別紙参照」として、エクセルやパワーポイントの資料に飛ばします。そうすることで、既存資料を有効活用でき、ワード本文もスッキリして見やすくなります。

要求機能一覧、業務フロー、システム関連図などは、エクセルやパワーポイントの方がベンダーも自社もお互い、扱いやすくなります。つまり、RFPの本編はワード、別紙はエクセルやパワーポイントなどの組み合わせが良いと考えます。

RFPの目次サンプル

以下にRFPの目次サンプルを示します。システムの性質によって調整は必要ですが、スクラッチ開発でもパッケージシステム導入でも以下は共通しています。

1 概要
 1.1 本書の目的
 1.2 背景
 1.3 プロジェクトの目的
 1.4 プロジェクトのゴール
 1.5 プロジェクトの範囲
 1.6 プロジェクトの方針
  1.6.1 全体方針
  1.6.2 実現機能
  1.6.3 ハードウェア等インフラ構成
  1.6.4 非機能要件
  1.6.5 プロジェクトスケジュール
 1.7 会社情報
 1.8 新システム利用者
 1.9 システム構成
  1.9.1 システム構成図

2 提案依頼内容
 2.1 会社組織情報(貴社情報)
 2.2 システム構成
 2.3 プロジェクトスケジュール
 2.4 プロジェクト体制
  2.4.1 貴社の体制
  2.4.2 当社の体制
 2.5 プロジェクトマネジメント方法
 2.6 プロジェクトの進め方(会議体・打ち合わせ等の一覧)
 2.7 運用保守内容およびサービスレベル
 2.8 納品物一覧
 2.9 ドキュメントサンプル
 2.10 概算費用
 2.11 制約事項
 2.12 提案システム導入実績
 2.13 契約内容

3 選考の進め方
 3.1 選定スケジュール
 3.2 問合せおよび提案書提出先

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(↓RFPの詳細説明はこちら↓)
RFPとは何か?
RFIとRFPの違いは?
RFPの5大メリット
RFPを提示する前にNDAを交わす
RFPを出した後に何をやるのか?

(↓RFPのサンプルはこちら↓)
RFP(提案依頼書)の目次の作り方(サンプル付き)
RFP(提案依頼書)とRFP別紙の作り方(サンプル画像付き)

(↓RFPに関するコラムはこちら↓)
RFPのジレンマ ~ 詳しく書きすぎると高額になる ~
RFP後のベンダー提案プレゼンで話しているのは誰?
なぜそのRFPはベンダー見積もりが10億円を超えてしまうのか?
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