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情シスPMOが開催する定例会は30分以内

2025

9/17

情シスPMOが開催する定例会は30分以内

予定よりも早く終わってしまった定例会

「すみません、本日は議題が少なく、予定よりも遥かに早く終わってしまって⋯すみません⋯」

ある基幹システム再構築プロジェクトの「週次定例会」に同席しました。PMOである情シスメンバーがアジェンダを作成し、ファシリテーションをしています。予定は60分。しかし、実際には30分で終わりました。

ファシリテーションの経験者なら、分かるのではないでしょうか。

予定より短く終わると、後ろめたい気持ちになります。せっかく忙しいユーザーの皆さんが集まってくれたのに、アジェンダの内容が薄くて申し訳ない。もっと議題を詰め込んで、充実した会議をやるべきではないか。

かつて、私自身もそう考えていました。

しかし、改めて問い直したいのです。
そもそも、なぜ会議は長くしないといけないのでしょうか?

ユーザーにとっては「ありがた迷惑」

ここに、主催する「情シス側」と参加する「ユーザー側」に大きな意識ギャップがあります。

ユーザーの立場になって考えてみましょう。

現場の仕事も抱えている彼ら彼女らにとって、1秒でも早く戻れるのは「ありがたい」のです。予定よりも早く終われば助かるし、毎回ダラダラと進行したり終了時間を延長したりする会議ほど、迷惑なものはありません。

60分の会議が30分で終われば、想定外の30分が生まれる。これはユーザーにとって嬉しいことです。

だからこそ「すみません」などと謝る必要はありません。むしろ堂々と仕切り、早めに終わらせる方が信頼されます。ユーザーは表情に出さないだけで、心の中では「助かった」と喜んでいます。

アジェンダで縛る

では、具体的にどうすればいいのか。

答えはシンプルです。最初から各アジェンダの予定時間を短くするのです。

定例会で確認したいのは、各自の進捗、共有事項、確認事項が主なところです。これをアジェンダとして「固定化」するだけです。

テンポよく進めれば30分で十分。もし長引きそうな議論があれば、それは関係する人だけを集めて「個別会議」を設けるべきです。関係ない人を拘束したまま、定例会の場で個別議論するのは、むしろ避けるべきでしょう。

会議は、短い方が内容は「濃縮」されます。必要なことだけを話すため、時間効率もよく、本当に重要な議論が浮上すればそこに集中できます。

逆に、1時間の会議だと余計な雑談が増え、寄り道していきます。参加者も緊張感を失い、遅刻が常態化してしまいます。

短い会議はPMOとプロジェクトを救う

PMOが忙しい最大の理由は「会議地獄」です。朝から晩まで会議に追われ、スキマ時間でメールやチャットを返す日々。とにかく会議が多すぎるのです。

だからこそ、PMOが率先して会議を短くする努力をすべきです。定例会は大勢が参加するため、全体工数の圧縮効果は絶大です。60分を30分にするだけで、プロジェクト全体でどれほどの工数を捻出できるのでしょうか。

会議が短いと、参加者全員が時間を意識し、話も寄り道せずテンポよく進むようになります。結果としてプロジェクトの雰囲気もよくなり、はずみがつきます。

短いからこそ続けられる

「それでは定例会は終了します。ありがとうございました!」

今回は、20分で終わりました。

冒頭の現場では、定例会を30分以内に徹底した結果、それまで欠席していたユーザーも出席してくれるようになりました。長時間拘束されるのは厳しくても、30分なら気分転換にもなるのでしょう。

会議を短くすることは、ユーザーへの最大の配慮です。そして、短くするからこそ継続できます。PMOが率先して30分以内に収める努力をすれば、プロジェクト全体の効率も雰囲気も大きく改善されます。

貴社のIT部門・情報システム部門は、定例会をコンパクトに開催できていますでしょうか?

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御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか

情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。