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IT部門/情シスPMOと議事録とプロジェクト掌握

2018

12/05

IT部門/情シスPMOと議事録とプロジェクト掌握

PMOに仕事を渡さない業務部門

「進捗管理と課題管理、PMOでやりますよ」
「ありがとうございます、でも大丈夫です」
「では、ファシリテーションやりますよ」
「いや、大丈夫です」

情シスPMOのAさんは、張り切ってプロジェクトの役割を引き受けようとします。ところが、業務部門のプロジェクトマネージャーBさんはやんわり拒否しました。

業務主管のプロジェクトでは、「外様」の情シスPMOが弾かれてしまうことは珍しくありません。特にデキる業務メンバーは「自分たちだけでプロジェクトを回せるのに、なぜ情シスが入るのか」と不満に思うものです。

外様の情シスにプロジェクト主導権を握られたくないので、ファシリテーションや進捗管理で仕切られるのを嫌います。

しかも表向きは紳士的に振舞われ、問題が表面化しないため、解決が難しくなります。

このように業務部門の警戒をくぐり抜け、情シスPMOがプロジェクトの主導権を握るにはどうすればよいのでしょうか?

雑用係の一石二鳥

業務部門の警戒が強い場合、いきなり「ファシリテーション」や「進捗管理」などの中心的な役割を担おうとしても拒否されます。

その場合、こう提案してみてはいかがでしょうか。

「議事録係をやらせてください」

議事録は「雑用係」のイメージが強いため、そこまで抵抗感はないようです。大抵の場合、OKをもらえます。

しかし、情シスメンバーは議事録を積極的に担うことはありません。それはなぜでしょうか?

業務が分からないからです。

知らない単語が飛び交い、話の流れについていけないため、議事録の大半が書けないのです。そのため、議事録から逃げてしまいます。

田村は、議事録こそPMOの原点だと考えます。以下のようなメリットがあるからです。

・業務を覚える
・業務メンバーと関係性を構築できる

田村は、新しい現場で初日から議事録をとることは珍しくありません。むしろ初日だからこそ、引き受けます。

本当に「笑ってしまう」ぐらい、会話についていけません。知らない単語ばかりのため、メモはカタカナだらけです。でも、それで良いのです。

その不完全な議事録を携え、関係者に個別質問して回ります。こちらの真摯な姿勢が伝われば、ほとんど親身に教えてもらえます。

教えてもらうことで、その業務内容に詳しくなります。その人との距離も一気に縮まります。まさに一石二鳥です。

初日からこれほど業務に入り込めるツールは、他に浮かびません。

議事録係のレベルが上がると、会議中にモニターに映して、その場で書いていきます。

「田村さん、これ議事録に書いておいて」
「そこ間違っているよ、書き直して」

といつの間にか、議事録係が中心となり、会議が進行されていきます。

その場で議事録が完成するため、負担も少なくなります。

議事録はPMOの原点

業務部門に警戒されているなら、議事録を起点に入り込むことが非常に有効です。

そこで信頼の足場を固めていけば、ファシリテーションや進捗管理など次のステップに入りやすくなります。

議事録の捉え方ひとつで、情シスにとって「武器」になるか「負担」になるか、大きく変わってくるということです。

貴社の情シスメンバーは、議事録を積極的に担当していますでしょうか?

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情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。