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情報システム部門/IT部門は人手不足だからこそ、どう足りないかを具体的に説明しないといけない

2022

9/07

経営者の情シスイメージは漠然としている

「情シスは人手が足りないらしいが、どう足りないのか分からない」

ある経営者から言われました。

情シスの人員を採用するのはやぶさかではない。でも、きちんと説明してもらわないとわからない、とのこと。

A社の情シスは、特定の人だけいつも残業しています。それ以外のメンバーは定時で帰ります。

内情を知らない外部の人からすると「平準化できていないだけ」と思われても仕方ありません。

しかし、情シス当事者からすると、とんでもない話です。きちんと状況を説明し、足りない部分は補充してもらわないといけません。

早速、情シス部長と人員計画を立てることにしました。

どのように経営者に説明し、納得してもらうべきでしょうか?

まずは「As-Is」を正確に書き出す

皆さまはご存じのとおり、情シスの役割は多岐に渡ります。

そこを正確に書き出し、現在の人員をマッピングしていきます。

この「As-Isの可視化」が全てといっても過言ではありません。

企業によって役割は変わってくると思いますが、一般的には次の4領域に分けられます。

(IT戦略)

IT戦略立案、ITグランドデザイン、DX全体計画、IT予算管理、データ分析
 

(システム開発・導入・保守)

システムの企画、プロジェクト計画、プロジェクト管理、業務改革推進、システム開発・導入、システム運用・保守、ヘルプデスク(システム)、外注管理、システム内製(PG開発・ノンコード/ローコード・マクロ/RPA等)
 

(インフラ管理)

サーバー、ネットワーク、周辺機器、PC・タブレット・スマートフォン等の管理、キッティング、セキュリティ、ヘルプデスク(インフラ)、IT資産管理
 

(新技術研究・活用)

新技術検証・PoC、研究開発、他団体との共同開発、DX(攻めのIT)推進
 

これらを横軸に書いて、情シスメンバーを縦に書いて、一覧表(星取表)を作ります。
(各社状況に合わせてアレンジしてください。)

ここで重要なのは「外部業者」も全て書くこと。

例えば、次のようなものも書きます。
・システムの開発・保守でベンダーに外注している
・IT戦略やPMOをコンサルに外注している
・ヘルプデスクやキッティングを外注している

あともう1つ重要なのは、現在誰もやっていない機能も書くこと。

例えば、
・IT戦略を誰もやっていない
・新技術検証を誰もやっていない
・データ分析を誰もやっていない

まずは、As-Isを明確にします。そうすることで全体を俯瞰でき、不足している部分や補強が必要なところが鮮明になってきます。

つぎに「To-Be」で打ち手を考える

人員計画は、人を「補充」することだけが全てではありません。まずは「改善」できるところをやっていき、それでも足りない部分は補充する、という順番になります。

代表的な打ち手を挙げてみます。

① 業務システム保守・運用負担の削減

業務システムの保守・運用負担が大きい場合は、業務部門に移管することを考えます。

全ての業務システムを情シスが面倒を見るのは、人手がいくらあっても足りません。そもそも、業務知識が不足しているため、的確に回答できないことが少なくありません。結局は業務部門に問い合わせするなら、最初から直接聞いてもらった方がお互いのためです。

システムやインフラに起因するものだけ情シスに回してもらい、それ以外は業務部門に担ってもらうのが、あるべき姿です。

その時、もし業務マニュアルも情シスが作っていたとしたら、そのメンテナンスも移管しましょう。完全に手離れしないと、情シスの負担は下がりません。
 

② アジャイル開発・小規模開発の内製化

情シス役割のAs-Is表の中で、検討すべきは「外注」の部分。

外注の場合は契約の縛りがあるため、柔軟に仕事を割り当てにくくなります。一方で社員なら、状況に応じて役割を柔軟に変えることができます。

ただし、外注の全てを内製化するのは現実的ではありません。

特に大規模なウォーターフォール開発の場合は、一時的に巨大な人的リソースが必要となります。そのため、プロジェクトが終わった後に解散できる外注の方が都合がよいといえます。

また、非常に高い専門性が必要な場合やリスクが大きすぎる場合も、外注の方がよいでしょう。

社員を雇用して、その後も継続的にタスクを割り当てられるような場合に「内製」は有効だといえます。

全く同じ「工数」がかかったとした場合、外注よりも内製の方が圧倒的に「費用」を抑えることができます。それも、経営者に響くメリットといえます。
 

③ EUCツールの内製化

もし、BI/AI 、RPA/マクロ、ローコード/ノーコードなど、プログラミング技術がなくても実装できるツールを外注している場合は、内製化の候補となります。

いきなり契約を打ち切るのではなく、徐々に工数の比率を内製側に移していき、外注の工数を減らしていくことで、リスクを抑えていきます。
 

④ 不足領域の検討

役割のAs-Is表で、人手が足りない部分は補充を考えます。

まずは既存の体制・人数枠で効率化を検討し、やりくりできないかを考えます。それでも、圧倒的に人手が足りない場合は、増員を考えます。

また、新しい領域で誰も担当していない場合は「初速」を生み出すために、いったん外注の専門家に協力してもらう方がよいでしょう。ペアで社員を組ませて、スキルトランスファーすれば、人員育成にもなります。

しばらく外注の力を借りながら実績を積み上げ、徐々に内製にシフトしていくのが現実的といえます。

堂々と明確に情シスの補充を要求する

情シスはよく「コスト部門」だと言われます。

システムやソリューションを販売して、外から売り上げを稼げる情シスも存在するかもしれません。しかし、それは少数派でしょう。

基本的には、情シスは社内のシステムやITの導入・維持を支援していくことが中心となります。そして、業務の効率化や利便性向上、生産性向上に寄与します。

全体的なインフラを整備し、コミュニケーションを円滑にし、セキュリティ事故を未然に防ぐなど、縁の下の力持ちでもあります。こうした当たり前の環境は、情シスがいないと、当たり前でもなくなります。

つまり、情シスは重要な役割を担っています。情シスがいないと回らないのに、コスト部門だとか、変な遠慮は不要です。

その重要な役割を全うするためには、それなりの人数は必要です。

堂々と人手が足りないと訴えるべきです。

ですが、漠然と「人手が足りない」では「何をわがまま言うのか」と言われかねません。

だからこそ、一覧表を作って、情シスの役割が多岐にわたることをきちんと認識してもらって、どの部分が足りないかを明確に訴えるべきです。

そして、それは情シス部長やCIOにおける「役割」といえます。

貴社の情シスは、どのように人員計画を立てていますか?

関連コラム

DXで経営戦略を仕組み化する技術

情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平

情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。

システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。

近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。

膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。

主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。