IT戦略を策定する際、経営層へのヒアリングは不可欠です。

その際、経営層から方針を引き出すための「質問」を整理してみました。

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・デジタルを活用した新しいサービス案は?

DX構想そのものを直接聞いています。もし、経営層が温めているアイデアがあれば、ここで勢いよく出てくるでしょう。
 

・最新技術で気になっているものはあるか?

「BI/AI、ビッグデータ、生成系AI、ブロックチェーン、クラウド、IoT、5G、ロボット、ドローン、メタバース、VR/AR、サイバーセキュリティ、ローコード/ノーコード、デジタルツイン…」などのキーワードを示して、経営層の発想を促してもよいでしょう。経営層がその導入を後押しするなら「経営直轄プロジェクト」として進めることができます。
 

・事業を加速させるためにITで何ができるか?

「ウェブ(ECサイト)からの注文を増やしたい」「スマホアプリで接点を増やしたい」「事業の特定領域を自動化したい」「AIをXX事業に組み込みたい」など、現在の事業に対してITの活用アイデアを引き出していきます。
 

・ITで競争力を高められるとしたらどこ?

この質問に答えるためには「競争領域」と「非競争領域」が明確である必要があります。競争領域に対しては独自性や最新技術を投入し、非競争領域はパッケージで標準化したり自動化、効率化で業務をスリム化していく必要があります。この領域の定義とそれぞれの方針を確認すると、大抵は盛り上がります。
 

・人手不足の解消にデジタル活用どころは?

人手不足はどこの企業でも課題になっているので、経営層の興味を引きます。解決するためには「アナログ作業」や「手作業」を「システム自動処理」に変換していく必要があります。どの領域を「システム自動化」するのか、経営層と方針を合わせていきます。
 

・デジタルリテラシー向上のために何をすればよいか?

「ウチは現場全員がITに弱くて」というのはよく聞く話です。このテーマになると「もっと研修に力を入れろ」「社内教育をやれ」という意見が出てきます。ここからe-learningの導入などの計画につながっていきます。
 

・データ活用、ナレッジ活用は十分か?

「データ経営」は経営層の関心が高い領域の1つです。DWHとBIでダッシュボードを作り、AIも活用するという話は盛り上がります。IT戦略で外せないテーマとも言えます。
 

・セキュリティにもっとお金をかけてよいか?

経営層に「セキュリティは重要か?」と聞けば必ず「重要」と答えます。一方で「優先的に予算を割り当ててもらえるか?」と聞けば「他に優先事項がある」と言われます。しかし、セキュリティは経営課題です。まずセキュリティの重要性を認識してもらい、予算を確保しないといけません。「ランサムウェア」などの事例が増えていることを詳しく説明して、必要性をアピールするのも良いでしょう。
 

・情シスの関与は今で十分か?期待することは?

IT戦略は、情シスの役割を増やすチャンスです。経営層は「守り」よりも「攻め」の関心が強いため、そこへの役割拡大が求められがちです。それは、情シスの「増員」というストーリーに繋げやすいといえます。経営層に対して、情シスの「組織改革」と「増員」について話ができる数少ないチャンスなのです。

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もちろん自社の状況に応じて、質問のアレンジは必要です。もっと業界や事業に踏み込んだ質問にしてもよいと思います。経営層からIT・デジタルのアイデアや方針をいかに引き出せるか。広い視野から考えてみましょう!
 
 

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