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試験勉強すらDXする時代。GeminiとChatGPTの「決定的な違い」と法人AIの選び方

2026

3/13

試験勉強における地殻変動

「今後の試験勉強は、根本的に変わるんじゃないですか?」

先日、私は「生成AIパスポート」を受験しました。デジタル人材育成を企画する情シスメンバーと一緒に、実際の効果のほどを体感するためです。

試験対策としてGeminiを使ってみたところ、本当に感動するレベルのクオリティでした。まさに「試験勉強DX」と呼べる体験です。

これまでの分厚い問題集と参考書を使った学習スタイルが、根本から覆るほどの衝撃を受けました。そして同時に、今までで最も「GeminiとChatGPTの違い」を痛感する出来事でもありました。

私が体験したGeminiの凄さとは何だったのでしょうか?GeminiとChatGPTの明確な違いは一体どこにあるのでしょうか?

そして、法人企業において今後、Geminiの導入は加速していくのでしょうか?

Geminiがもたらした「試験勉強DX」

私が感動したポイントは、大きく3つありました。

① オンライン試験そのものを再現する「UI(ユーザーインターフェース)」

Geminiに試験対策を相談し「まずは間違えやすい問題を20問作りましょうか?」と提案されたときのこと。お願いすると、即座に画面上に実際のオンライン試験のような4つの選択肢が並びました。

私はその選択肢をただ「タップ」するだけです。押すと即座に正解か不正解かが判定され、丁寧な解説が添えられます。「次へ」を押せば、次の問題にスムーズに移行します。

② エンドレスな反復と「パーソナライズ」

20問を解き終わると、「成績を分析する」「フラッシュカード」「追加で10問解く」などのメニューカードが提示されました。

フラッシュカードを選べば、私がよく間違える問題だけを集めた暗記用カードを作成してくれます。

分析を依頼すれば、私の苦手分野と得意分野を可視化し、強化すべきポイントと今後の勉強プランまで提案してくれます。

さらに問題を要求すれば、エンドレスに出題され続けます。

ただペーパーレス化されただけでなく、AIが弱点を分析し、私専用の問題にチューニングしてくれる「個別教師」になった瞬間でした。

③ 圧倒的な「モバイル体験」

社会人の試験勉強は時間との闘いともいえます。必然的に「隙間時間」を使うしかありません。

私は満員電車の中でスマホを取り出し、Geminiで問題の続きを解きました。画面が非常に見やすく、タップだけで完結する操作性は抜群です。

公園を歩きながらでも試してみましたが、これも非常に快適でした。歩きながら脳に酸素を送りつつ、反復して記憶に刷り込ませていく。運動不足も解消され、ストレスも軽減されます。

ChatGPTとの決定的な差は「UIの設計思想」

ここで、ChatGPTとの違いについて触れておきます。

実は、まったく同じ依頼をChatGPTにも行い、問題を作ってもらいました。しかし、ここで決定的な差が発生したのです。

ChatGPTの場合、回答方法は選択肢の「A・B・C・D」をキーボードから自力で「入力」しなければなりませんでした。「選択肢を押す形式にできますか?」とお願いしても、「できない」と返ってきました。

これはAIモデルの能力差ではありません。「UIの設計思想」の違いです。

ChatGPTは、基本的に「純粋なテキストのやり取り」を前提としたシンプルなチャットインターフェースです。

裏側ではPythonコードを実行するなど強力な環境を持っていますが、画面上に独自のボタンやカスタムUIを動的に配置する機能は、標準画面には持たせていません。

一方、Geminiはモバイル端末での利便性や、次のアクション(検索やアプリ連携)へのシームレスな移行を加味したUIが設計されています。

このUIの違いは、ユーザー体験(UX)を圧倒的に変え、AIの用途そのものを変えてしまいます。もっと言えば、使い勝手の良さが「ユーザー接点」を独占する可能性すら秘めているのです。

たとえば、外出先でランチを探す場合。ChatGPTはテキストの箇条書きで店を教えてくれますが、GeminiはGoogleマップのウィジェットを直接埋め込んでくれます。タップすれば即座に経路案内に移ります。便利すぎます。

個人利用において、このUXの差は圧倒的でしょう。

法人企業におけるAI覇権争いの行方

では、法人企業においてもGeminiがシェアを伸ばし、市場を支配していくのでしょうか?

こちらは、そう単純な話ではありません。

多くの企業では、引き続きChatGPT(およびその技術)が使われ続ける可能性が高いと言えます。

なぜなら、「Microsoft Copilot」として、マイクロソフトの「エコシステム」と深く結合しているからです。

企業の多くは、Microsoft 365(Word、Excel、Teams等)やWindows OS、Active Directoryを基盤としています。その圧倒的なプラットフォームに標準で組み込まれたCopilotを拒む理由はなく、わざわざGeminiを選ぶ動機が薄いからです。

もちろん、IT基盤として「Google Workspace」を全社採用している企業であれば、Gemini一択となります。ある支援先企業はこちらのケースですが「Googleエコシステム」は非常に強力で、Geminiがスムーズに組み込まれています。特にGmailに組み込まれたGeminiが非常に好評でした。

つまり、企業がどのAIをメインで採用するかは、「自社の基盤がどのエコシステムに属しているか」によってほぼ決まるということです。

ただし、今後は「併用」が進んでいきます。

現場のフィールド業務など、スマホやタブレットでの操作が多い環境では、タップ操作に優れたGeminiが優位です。また、Google検索とネイティブ結合しているため、最新情報の調査やリサーチ業務における正確性は抜きん出ています。

一方で、Claudeが圧倒的な優位性を発揮する領域もあります。

単なる長文の読み込みだけでなく、複数の複雑な社内規程や契約書を比較・照合するような「高度な論理的思考」においては、他のAIの追随を許しません。さらに、プログラミングのコード生成能力の高さや、生成したWebコードや文書を右画面で即座にプレビュー・編集できる専用UI(Artifacts機能)を備えており、情シスの「作業空間」として非常に強力な武器となります。

そのため、理想は用途によってAIモデルが「選択」できる環境です。

実際に、そのような「使い分け環境」を整備している企業は増えてきています。

複数のAIの回答を比較し、取捨選択することで、より精度を上げることもできますし、結果的にハルシネーション(もっともらしい嘘)も抑えられます。

UIの利便性がもたらす時代の転換点

話が少し広がりましたが、AIによって試験勉強の世界にも明確な「DX」が生まれました。

まだまだ、テキストベースのChatGPTしか使っていないという方は多いと思います。これを機にぜひGeminiも触ってみて、UI/UXの重要性、そしてAIがもたらす時代の転換点を体感してみてください。

同じレベルの知能であっても、見せ方ひとつで価値は劇的に変わります。その体験は、これからのAI選びのための重要な知見となるはずです。

貴社のIT部門/情報システム部門は、自社の基盤と業務特性に合った「正しいAI選び」ができていますでしょうか?

DXで経営戦略を仕組み化する技術

情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平

情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。

システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。

近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。

膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。

主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。