2019
6/07
現場とだけ密に連携するPMO
「業務部長には確認したんですよね?」
「え?なぜ確認しないといけないんですか!」
情シスPMOのAさんに確認すると、感情的に反論してきました。
業務改革プロジェクトで、ある業務機能を本社に集約するかどうかの議論がありました。
現場の意見は「本社に集約できない」でした。その理由を情シスAさんは、口調を強めて説明されます。
現場の意見を細かく丁寧に吸い上げている点は、素直に感心しました。
一方で、「この判断を業務部長が聞いたらどう思うか?」と考えると、激しく不安になりました。
どうやらAさんは、こう考えているようです。
・現場と苦労して決めた内容にどうしてケチをつけるのか
・現場の大変さを知らないだけだ
・現場を知らない業務部長は判断できない
情シスPMOはどこまで確認をとって、進めるべきでしょうか?
トップは何を求めているのか
情シスメンバーは、現場担当者とは積極的に調整します。電話、メール、個別会議など、とても密にコミュニケーションします。
これは、どこの現場でも見られる光景です。
ところが、業務部門のトップまたは経営層とのコミュニケーションとなると、別人のように鳴りを潜めます。
通常業務であれば、立場をわきまえて、しかるべき報告ルートで報告するべきでしょう。
しかし、「全社横断プロジェクト」や「業務改革プロジェクト」においては、経営層や業務トップは何を求めているのでしょうか?
現場から上がってくる「主観的な意見」とは異なる、「客観的な意見」や「フィルターのかかっていない事実」を求めています。
その上で、より多くの情報を踏まえて、トップとして判断したいのです。
・全社的な判断や大きな決定事項
・トップと現場でギャップが感じられる事項
・インパクトの大きい想定外の事項
多くの情シスを支援してきましたが、トップに報告しに行って、嫌がられたことはほとんどありません。むしろ忙しい中でも時間を割いて、話を聞いてもらえます。
トップから信頼を得られないPMOは、同じ職位の話しやすい人とだけ仕事をします。
ヒリつくような場での「トップ報告」を避けるようでは、小さな事務局はできても、大きな改革をリードすることはできません。
情シス/IT部門は客観性が武器となる
冒頭の件、嫌がるAさんを説得し、業務部長に報告しに行きました。
部長は、Aさんの説明を前のめりで聞き、真剣に考えています。現場の判断に理解を示しながらも、「部長預かり」になりました。その後、別の場で議論が行われ、「本社に段階的に集約する」という異なる結論で進むことになりました。
あのまま現場だけで進めていたら、後でとても大きな問題になっていたでしょう。想像するだけでも恐ろしくなります。
トップと現場のベクトルを合わせることは非常に重要です。それは、客観的な立場の情シス/IT部門だからこそ、行いやすいのです。
報告が終わった後、業務部長に言われました。
「このメンバーで定例会をやろう」
Aさんは嬉しそうでした。
貴社の情報システム部門/IT部門は、トップレベルのマネジメントを意識していますでしょうか?
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情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平
情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。
システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。
近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。
膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。
主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。
著書の詳細は、こちらをご覧ください。