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RFPなど上流工程におけるIT部門/情シスの「受領資料を読まない病」を克服する

2019

3/12

上流工程における典型的なパターン

「先週、ユーザーから受領した資料は確認しましたか?」

「すみません、忙しくて全く見ていません…」
「資料が多すぎて、とても時間がとれません…」

先日、RFP作成のための「要求検討会議」に参加しました。

ユーザー部門が情シスに向けて、熱心に説明します。
横で聞いていた田村は、いろいろ質問したくてウズウズします。

ところが、聞く側の情シス担当者は、全く発言がなく、おとなしくしています。

田村が情シスに質問を促したところ
「話についていくのに精一杯です」
と返されました。

会議後、情シス担当者に聞いてみると、冒頭の「予想通り」の回答です。

実は、弊社がお手伝いするIT部門/情シスのほとんどが、最初はこのようにユーザーからの受領資料を読んでいません。

たかが受領資料の確認ですが、どのような影響があるのでしょうか?

受領資料を読まないから受け身になる

RFP作成など、プロジェクトの初期においては、様々な資料を受領します。

・ユーザーマニュアル、業務説明資料
・現行システム設計書、帳票設計書
・実帳票サンプル、各種管理台帳
・お客様とのやりとり、社内のやりとりの記録
・その他参考資料、ベンダー資料等

これら資料を受領する前に、大抵はこのような会話があります。

情シス 「業務が分かる資料を何でもいいので送ってください」
ユーザー「すごい数ありますが、どれが必要ですか?」
情シス 「とりあえず全部送ってください!」

その結果、まじめなユーザーほど、多くの資料を連携してきます。

情シスは、あまりに膨大な資料をさばききれず、読まなくなってしまいます。

その根本原因は、どこにあるのでしょうか?

情シスは、いろいろなタスクを抱えていて、忙殺されています。その膨大なタスクをさばくために、担当者は日々、優先順位をつけています。

つまり、時間が取れないと言っている人は、「業務理解タスク」の優先順位を下げているのです。

それは、「業務理解を軽視している」とも言えます。

ユーザーは当然、読んでくれた前提で話しますが、情シスは話についていけません。資料を読んでいない「後ろめたさ」から、ユーザーに気後れし、受け身になっていきます。いつしか、対等な関係性が崩れ、下請けの関係性になっていくのです。

ちなみに、この構図はベンダーも同じです。ベンダーも業務資料を読み込まないことが多く、必然的にユーザーからの「要件待ち」という受け身姿勢になります。

受領資料から積極性を出していく

IT部門/情シスは「業務資料の読み込み」の優先順位を上げることです。

古い資料になるほど、永遠に読まなくなります。

業務資料の未読は溜め込まず、「3日以内に読み込む」など自身でルールを決めること。また、大量の未読は心理的なハードルが高くなるので、こまめに処理すること、をオススメします。

RFPのような上流工程は、情報整理が全てです。そこで「情報とどう接するか」で、情シスがプロジェクトの主導権を握れるかどうかが決まります。

ただし、言うは易く行うは難し。本当に大変です。だからこそ、IT部門/情シスの本気度が問われています。

貴社のIT部門/情シスは、業務資料の「未読分」が大量に残っていませんでしょうか?

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DXで経営戦略を仕組み化する技術

情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平

情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。

システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。

近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。

膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。

主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。