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AIチャットボットでベンダー選定の効率化を試みる

2023

4/19

情シスでも話題のChatGPT

「え?ChatGPTはベンダー選定にも使えるんですか?」

最近はどこの情シス現場に行っても、ChatGPTについて聞かれます。

例えば、ヘルプデスクの問い合わせ対応は、テキストがベースとなるため、相性が良いといえます。ちょっとしたエクセルの関数なども、すぐに作ってもらえます。

いろいろな活用シーンが考えられますが、今回は「ベンダー選定」での活用を考えてみました。

選定において、最も大変なのが「ベンダー候補リスト」の作成ですが、ここに活用の余地はあるのでしょうか?

編集労力を効率化する

「候補ベンダーのリストアップ」の従来のやり方は、ある意味で単純な「作業」といえます。

ただひたすら、インターネットでキーワード検索して、引っ掛かったベンダーとシステムをエクセルの一覧に転記していくだけです。

単純作業ですが、最初は数が重要なので、例えば50社集めようとすると、非常に骨が折れます。

これをChatGPTにお願いしてみると、次のようになります。
(※ 会社名とシステム名は固有名詞のため、隠しました。)

・・・感動すら覚えます。

テキスト形式でも詳しく出力してもらえますが、一覧形式で出してもらった方がそのままエクセルにコピペできて便利です。

出力字数に制限があるため、何度か小分けして出力してもらう必要はあります。

また、回答内容が正しいとは限らず、検証は必要です。

ですが、ゼロからリストを作っていく手間に比べると、効率化できます。

本当はもっと項目を追加して(標準価格や主な導入先、特徴などを)出したいところですが、出力字数が多くなりすぎて、表がかなり細切れになってしまいました。

そのため、いったんベースとなる項目だけでリスト化して、そこに対して追加でリクエストした方がやりやすいと感じました。

このあたりのリクエストの仕方には、まだ工夫の余地があると思います。

現時点ではまだ課題もある

ただし、現時点ではChatGPTには大きな弱点を2つ感じました。

1つ目は、2021年9月までの情報に基づいて回答が生成されているということ(2023年4月現在)。

つまり最新の情報にアクセスしておらず、最新のベンダーやサービスが含まれていない可能性があります。

では「使えない」ということでしょうか?

そんなことはありません。

「制約」として受け入れて、手段を組み合わせればよいと考えます。

例えば、会計システムや販売管理システムなどの基幹システムやERPは、大掛かりなので、それなりに参入障壁があります。

そのため、一年半前に作ったとしても、さほど結果は変わらないと思われます。

ベースをChatGPTで作ってもらい、最新情報だけ追加で上書きすれば、効率化できるのではないでしょうか。

2つ目の弱点は、回答が再現されないことです。

使い倒してみてわかったのですが、毎回、回答が異なります。

回答精度が上がるなら問題ありませんが、過去の回答を汲み取ったうえで別の回答をしてくる傾向にあります。

その結果、同じ質問を繰り返すと、逆に当初の回答から逸れていき、的外れな回答が増えていくように感じました。

この部分は、まだ私のリクエストの仕方について、工夫の余地はあると思います。

また、バージョンアップされた場合、より改善されていくのではないでしょうか。

Bingの特性が活きる

次に、もう1つの候補である「Bing」の活用を考えてみたいと思います。

こちらも同じように、AIチャットサービスがあります。

Bingの優位点は、最新のウェブ情報にもアクセスできることです。

こちらにも同じようにリクエストしてみると、次のようになりました。

Bingのとても便利なところは、情報元のサイトにリンクが貼られていることです。上図では、お薦め理由がリンクになっていて、そこからサイトに遷移できます。

もちろん1社ずつ検証は必要ですが、代替手段としては十分ではないでしょうか。

ChatGPTとBingを組み合わせることで、より多くの候補を出していけると思います。

AIは手段の一つにすぎない

ベンダー選定のクオリティは「最初にどれだけ選択肢を洗い出せるか」にかかっています(詳細は「ファネル選定®」ご参照)。
「ファネル選定」とは?

手作業でやるにしてもAIが自動生成するにしても、情報源はインターネットが中心となります。

インターネットの情報自体が信頼性において完璧とは言えないので、どちらも課題があります。

どちらも課題があるなら、いったん機械的なリスト作成は自動化して工数を削減して、その後のブラッシュアップに工数をかけた方が有意義です。

ただし、これも「手段」の一つにすぎません。

口コミや紹介、他部署のベンダーとの繋がり、展示会での情報収集など、あらゆる手段を組み合わせて、まずは選択肢を多く出していくスタンスは変わりません。

ただし、今後は「自動作成」の比重が大きくなっていくと考えられます。

貴社のIT部門・情報システム部門では、ベンダー選定のプロセスをバージョンアップできていますでしょうか?

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DXで経営戦略を仕組み化する技術

情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平

情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。

システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。

近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。

膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。

主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。