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保守ベンダーの「賃上げ」という選択肢

2024

2/28

ベンダー賃上げの経緯

「今度、ベンダーさんの単価を上げようと思いまして」

10年以上前に支援した情シスの方と、久々に飲みに行きました。

当時は情シス担当者として、一緒にPMOをやりました。それが今では、情シス部長になられています。

その当時から、一緒にやっているベンダーがいます。

基幹システムをスクラッチ開発し、今でも保守を続けています。

かなり複雑なシステムで、去年のインボイス対応と電帳法対応は、とても苦労したそうです。情シスも人手不足だった中で、そのベンダーの献身的な支援もあり、無事にリリースできたとのこと。

その感謝の印として、単価アップを決断されたそうです。

私は、この決断は情シスにとってプラスになると考えます。

何がプラスになるのでしょうか?

ベンダー賃上げの3つの効果

① 主力メンバーが継続して残ってくれる

ベンダーは自ら契約を切ることはしません。安定的に売り上げが立つからです。しかし、アサインは別です。自社のエースで高い単価がとれないなら、もっと高く売れる現場に投入しようとするのは当然のこと。
ここで単価アップは、そのエース流出の抑止力となります。自社業務を理解するエースを再び育てるには途方もないお金と時間がかかります。それを考えれば、最小限の投資で大きなリターンとなります。

② 保守メンバーのモチベーションが高まる

単価を上げることは、評価していることを直接示すことになります。日々の献身的な支援に対して、感謝の印でもあります。それを受けたメンバーは感激し、もっと献身的になるはずです。情シスへの忠誠心が高まります。よりサービスの品質があがり、情シスにとっては大きなプラスとなるでしょう。

③ 情シスのタスクを支援してくれる

保守ベンダーと情シスは、多くのタスクで重なり合います。例えば、システムの「トラブル対応」。通常はベンダーがシステム側、情シスがユーザー側を対応します。
しかし、保守歴の長いベンダーは、ユーザーにも顔が広い。異動してきた情シスよりも経歴が長い、ということもザラにあります。その場合、情シスが間に入らなくても、直接連絡をとり、調査/対応を完結させてしまいます。システム対応までノンストップで行えるので、解決までが圧倒的に早くなります。システムの「仕様変更」や「機能改修」も同様です。
つまり、一部の情シス業務を代行してくれます。もちろん、丸投げはよくないですが、コントロールできる範囲で任せることができれば、情シスにとって大きな負担軽減となります。

ベンダーには必ず伝わる

私は、やみくもに全てのベンダーの賃上げをすべき、だとは思っていません。

価値を生み出していないベンダーには、1円も上げる必要はないですし「賃下げ」「契約解消」「ベンダーチェンジ」も考えるべきです。

一方で、優良なベンダーは本当に貴重です。真のパートナーとなってもらえるベンダーは、数少ないものです。

加えて、情シスは空前の人手不足。どこの情シスも人手が足りなくて苦労しています。

そんな情シスを助けてくれるのは、最も身近にいる「保守ベンダー」ではないでしょうか。

労力を一方的に搾取するのではなく、パートナーとして共存共栄することで、情シス全体のパフォーマンスを底上げしてくれます。

ベンダーを大事にしているかどうか。

これは必ず、ベンダーに伝わります。

もし大事にしていれば、10倍にして返してくれるでしょう。

貴社のIT部門・情報システム部門は、「増員」や「アウトソーシング」などの選択肢の他に、「保守ベンダーへの賃上げ」も選択肢に入っていますでしょうか?

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DXで経営戦略を仕組み化する技術

情シスコンサルティング株式会社
田村 昇平

情報システム部門(情シス)を起点に、経営戦略とDXを統合するコンサルタント。

システム開発を10年、ユーザー側のITプロジェクト支援を13年。ベンダーとユーザー、双方の立場を経て独立。これまで30社以上、100を超えるプロジェクトに携わる。

近年は、現場主導のDXが行き詰まる企業が多い現実を踏まえ、「経営主導」への転換を提唱。トップダウンでDX戦略を策定し、実行可能な形で「仕組み化」する支援を行っている。併せて、「情シスをDX推進の中核組織」へと進化させる独自メソッドも確立してきた。

膨大な現場経験での数多くの失敗や板挟みとなる葛藤。それらを乗り越えてきた知見をもとに、机上論ではない「再現性のあるDX」を追求する実務家として、経営者・CIO・情シス部長と伴走している。

主な著書に『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』『DXで経営戦略を仕組み化する技術』がある。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。